第38章 柱の矜持
その玄弥の言葉に杏は考えるより先に口が動いていた。
時「杏さん…。」
玄「……音白さん??」
このとき、初めて杏を認識した玄弥。
玄弥と時透の瞳に映った杏の姿は涙で目を潤ませて、拳を硬く握り、涙が溢れるのを堪えている…初めて見る姿だった。
『幼い頃のあの人のことはわからないけれど、最近のあの人のことならよくわかります。あの人は大事な弟に命を犠牲にしてまで自分を守って欲しいなんて欠片も思っていない。…ダメなんですよ。……"何かを達成しようとするのに自分の命をかけなくていい"んです。…大丈夫。みんなで生きるために闘いましょう。』
杏のその言葉に時透は玄弥の肩に手を触れる。
時「一緒に戦おう。玄弥。そして一緒に帰ろう。」
玄「………ありがとうございます。」
3人で頷き合い、笑い合う。
『さて、そうと決まれば玄弥くんの身体をくっつけなくては…。』
時「そうだね。僕と杏さんで上と下それぞれ押しましょうか。その前にあの髪の毛食べる??玄弥。」
玄「あぁ。頼む。」
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