第38章 柱の矜持
激痛に眉間に皺を寄せる時透。
時(状況が悪すぎる…。これだけの傷を負わされては役に立てない。俺は宇髄さんほど体格にも恵まれていないから数時間で失血死する…。せめて上弦の壱だけでも倒さなければ。まだ生きて戦える人の負担を少しでも減らせ。
死ぬなら役に立ってから死ね!!)
そう己を鼓舞しながら顔をあげて杏に笑顔を向ける。
時「大丈夫です。」
その時透の表情に杏は眉間に皺を寄せながらも小さく頷いた。
『そう…。とりあえず手当しましょう。傷を見せてください。』
時「いえ、止血はできてますから。このままいきます。時間もない。」
『いいえ。このままでは上弦ノ壱を倒してもあなたは失血死してしまいます。薬を打ちますから早く見せて。』
時「薬…??」
首を傾げる時透に杏は準備しながら説明する。
『えぇ。しのぶさんのところのアオイちゃんが作ってくれた造血剤です。』
時「ぞうけつざい…??」
時透は聞き慣れない単語に首を傾げる。
『簡単に言えば血液を作るための薬ですね。失血死を防ぐためにお願いしました。この闘いでの死者を減らすために。』
時「杏さんが…??」
『はい。さ、腕を貸してください。ちゃんと止血できてますね??』