第38章 柱の矜持
顔の右上から左下にかけて傷を負わされた悲鳴嶼。
フゥフゥ、と息を切らしている。
悲「これは…無惨の時まで温存しておきたかったが」
そこまで言った後、一息、フゥーと大きく吐いた。
黒「!!」
悲「ここで負けては元の木阿弥。」
悲鳴嶼の様子の変化に黒死牟も気がついた。
悲鳴嶼はぐぐっ、と胸の前で組んだ両腕に力を入れる。
悲「今使うと止む無し!!」
そう叫んだ悲鳴嶼の両の腕には黒の痣が浮かび上がっていた。
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悲鳴嶼と不死川が黒死牟と対峙しているとき、時透は激痛に顔を歪めながらも、懸命に自身に刺さる刀を抜こうともがいていた。
──ズズ…
少しずつだが動く刀。
しかし、その痛みも増すばかりで思わず手を止めてしまう時透。
時(っ、くそ…!!はやく…はやく僕も行かなきゃいけないのに…!!くそくそくそっ…!!)
早く自分もあの闘いに参加しなければ…その一心で奥歯を噛み締め、再び刀を握る。
一気に引き抜こうと覚悟を決めたそのとき──…