第38章 柱の矜持
──ドォォォォン
振り回していた鉄球を黒死牟に向けて放るも、黒死牟はそれを素早く避け、地面が砕ける。
そして、そのまま反撃に移るべく息を吸った。
ー 月の呼吸
しかし、そうはさせぬと悲鳴嶼がすかさず追撃のため、左手に握っていた手斧を黒死牟の頸目掛けて放り投げた。
これには黒死牟も驚くが、
黒(手斧まで投擲するのか。両手共武器を離すとは…。)
武器を持たぬ丸腰状態の悲鳴嶼を斬るため、手斧を避けながら改めて息を吸う。
ー 月の呼吸 …
しかし、再び悲鳴嶼により追撃が為される。
ー 岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き ー
──ドゴン
手斧に鉄球、鎖をまるで手足のように操る悲鳴嶼。
──ギュリン
黒死牟の頸元に鎖が巻き付いていき、その頸を落とすため、鎖をグイ、と引く。
黒死牟もすかさず頸元に刀を入れ、鎖を斬るため力を入れる。
──ジリジッ
しかし、すぐに異変に気付いた。
黒(この鎖は斬れぬ!!)
そう悟った黒死牟は素早く蹲み込み、頸を落とそうとする鎖から逃れる。
その際、髪の先のみ鎖に絞められ、ジュワッ、という鬼にとっては非常に嫌な音を立てて灼け落ちた。