第38章 柱の矜持
黒死牟が視線を移した先の蹲る不死川の前に立っていたのは鬼殺隊 最強の男 悲鳴嶼行冥だった。
悲鳴嶼は瞬時に状況を判断し、不死川へと指示を出す。
悲「不死川。腹の傷は今すぐ縫え。その間は私が引き受ける。」
不「!!」
今までの戦いや不死川の負傷箇所を盲目の悲鳴嶼が知るはず無いのだが的確な指摘に不死川は目を見開いた。
けれども、その的確な指示に不死川は素直に返事を返す。
不「はい、すみません。」
不死川の返事を聞いた悲鳴嶼は、静かに自身の日輪刀と鎖で繋がっている鉄球を振り回し始める。
──ブン ブン
その間、黒死牟は透けて見えるその視覚で悲鳴嶼の体を観察していた。
黒死(素晴らしい…極限まで練り上げられた肉体の完成形…。これ程の剣士を拝むのは…それこそ三百年振りか…。)
──ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン
悲鳴嶼は止むことなく振り回し続ける。
──ビリビリビリ
黒死牟にも伝わる威圧感。
黒(空気が…引き寄せられる…。)
静かな睨み合いが続く。
──ゴウン ゴウン ゴウン
そんな中、先に動いたのは悲鳴嶼だった。