第37章 祈り
鬼殺隊士たちを駒だとしか思っていないと考えていた鬼殺隊当主がなぜ、匡近の名前を知っているのか。
そんな疑問に目を丸くする不死川へ、隣に居たカナエがその理由を教えてくれた。
カ「不死川くん。お館様は当主になられてから亡くなった隊員の名前と生い立ちは全て記憶してらっしゃるのよ。」
この言葉に不死川はさらに目を見開き、驚き、固まってしまった。
不(…そんな。俺でさえ一緒に戦って死んだ隊士全ての名前は憶えきてれてない…。)
そんな不死川の元へ、お館様はかなた様に支えられながらゆっくり歩み寄る。
お「実弥。鬼殺隊の子供たちは皆、遺書を書いているよね。その遺書の内容がね、不思議なことに殆ど似通っているんだ。匡近も同じだったよ。渡そうと思っていたんだ、実弥に。」
お館様はそう言いながらかなた様の手から輝利哉様の手に支える手を移しながら庭へ下りる。
そして、不死川へ匡近の書いた遺書を手渡した。
お「匡近は失った弟と、実弥を重ねていたんだね。光り輝く未来を夢見てる。私の夢と同じだよ。」
それを不死川も震える手で受け取った。