第37章 祈り
相変わらず柱たちと目を合わせようとはしないがその言葉には素直に従う不死川。
杏(よくわからない人…。私の齢を聞いたとき、誰かを思い浮かべているようだったけれど…気のせいかしら。)
杏が不死川をチラリ、と横目に見ながらそんなことを考えていると、庭に凛とした声が響いた。
輝.か「「お館様の、お成りです。」」
その声と共に奥の襖が開き、輝利哉様とかなた様に手を引かれながらお館様が歩いてくる。
その瞬間、不死川以外の柱たちは膝をつき、頭を垂れる。
お「お早う、皆。今回の柱合会議も誰も欠けることなく迎えることができて良かった。」
お館様のお言葉の後、すぐにカナエが口を開く。
カ「お館様におかれましても、御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。」
お「ありがとう、カナエ。」
皆が嫉妬の視線を向ける中、カナエはにこやかにお館様を見つめる。
そんな光景に不死川は怒りが抑えきれなくなっていた。
不(頭にくるんだよ。人が苦しんでるっていうのに笑ってる奴が。自分の手を汚さず、命の危機もなく、一段高い所から涼しい顔で指図だけするような奴が。)