第37章 祈り
『はい。そういえば皆さんお館様から文が届いたと思うのですけど、新しい風柱の方のお名前なんて読むのかわかります??』
杏は事前に届いていたお館様からの新風柱の紹介の文を見せながら尋ねる。
するとカナエは困ったように眉を下げる。
カ「私もちょっと分からなかったのよね。珍しい名前よね。」
宇「俺も知らねぇなぁ。冨岡は??」
宇髄もわからなかったようで冨岡に尋ねるも、冨岡も首を横に振る。
『悲鳴嶼さんは分かりますか??』
そして杏は最後の頼みの綱である最年長の悲鳴嶼に尋ねる。
悲「名は…しなずがわ さねみ、というらしい。」
カ「流石悲鳴嶼さんですね。」
すぐに教えてくれた悲鳴嶼さんにカナエは笑顔をみせる。
悲「私は盲目だからな。私には文の内容が鎹鴉から口頭で伝えられる。」
宇「なるほどなぁ。」
『お名前も分かりましたし、これでお話しするときも困らないですね。』
──ジャリッジャリッ
そうこう話していると噂の渦中の人物が産屋敷邸の庭の石を踏みしめる音が聞こえてきた。
柱たちが一斉の振り返る。
白い羽織を着た傷だらけの人相の悪い男。