第37章 祈り
けれど黒死牟が押され続ける訳もなく先刻の相殺した技の残り変型する刃が不死川を襲う。
──ブワッ
けれど、柔軟かつ幾度も死闘を潜り抜けてきた長年の勘などもあり、不死川はその斬撃を躱した。
更に不死川は足の指先で側に落ちていた玄弥の日輪刀を拾い上げるとそのまま黒死牟の頸目掛けて振り上げた。
──ヒュッ
玄(俺の刀…!!)
寸前で気づかれてしまい、避けられてしまったものの初めて目の当たりにする兄の戦い方に玄弥は目を見開いて驚いていた。
激しく繰り広げられる戦闘。
たった一度の瞬きも許されない。
けれど、技を振れども振れども食い付いてくる不死川に黒死牟は懐かしい高揚感に包まれていた。
黒(ほう…まだ…ついてくる…私の技に…懐かしい…感覚だ…高揚する…。)
──ヒュガガガ
幾度と無く回避しては反撃してを繰り返しても目にも止まらぬ速さで繰り出される精度の高い斬撃。
どんなに不死川が食い付こうが、相手は鬼。
こちらは人間。
どう抗っても、優劣が分かれてくる。
不「・・・ッ」
避けそびれた斬撃が不死川の頬を掠る。