第37章 祈り
──ガキィッ
鉄同士のぶつかる独特な音が部屋に響く。
抜刀から納刀までがあまりに速く、さらに直後に深手を負わされていた時透と玄弥が見ることのできなかった刀身に時透は息を呑む。
時(刀身を…見せた!!)
そして、その刀身を見た不死川はニタリと笑う。
不「はァア!!こりゃあまた!!気色の悪ィ刀だぜェ!!なァ、オイ!!」
黒死牟の刀は、至る箇所にびっしりと目が連なっている気味の悪い姿形をしていた。
しかし、鍔迫り合いの状態をこれ以上するつもりのない黒死牟が動き出す。
現在、鍔迫り合いの状態。
この状態から斬撃を繰り出すことなど本来ならあり得ないが、黒死牟の殺気を読み取った不死川はすぐさま間合いを取って回避する。
ー 月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦 ー
黒死牟は不死川に刀を止められていたにも関わらず、その場で広範囲の斬撃を繰り出してきた。
──ドザザッ
不「はッはアッ!!振り無しで斬撃を繰り出しやがる!!」
息つく暇もなく直ぐに不死川へと向く刃。
不死川も怯むことなく、刀を向ける。
ー 風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹 ー
時透を凌駕する程の不死川の実力。
これには黒死牟も思わず口を開いた。
黒「やりおる…。肉体的にも技の…全盛と見た…。」