第36章 兄の願い
そんな願いを心の中で祈りながら走る。
暫くするとこれまできた道とは違い、広がった空間が見えてくる。
杏(気配が濃くなった。恐らく戦場はあそこね。隊士の気配は……2人…かしら??柱はいるけれどもう1人の気配がわかりにくい…。)
感覚を研ぎ澄ませながら走る杏。
しかし、分かってくる状態に冷や汗が流れる。
杏(鬼は恐らく上弦ノ壱…。相手取っているのは柱1人に気配のわかりにくい剣士…恐らく、玄弥くん。だとしたら状況が悪すぎる。それに、玄弥くんが重傷を負っているとしたらこの人が冷静じゃなくなる可能性もある。)
隣を走る不死川をチラリ、と横目で見る。
杏(お願いだから無事でいて。間に合って。)
グン、と杏が速度を上げると、不死川も同じく速度を上げる。
不「状況が悪いのかァ。」
杏の様子に勘付いた不死川は静かに尋ねる。
迷った末に、杏は状況を伝えることにした。
『恐らくは………、あくまでも私の感覚からの推理ですけれど上弦ノ壱と戦闘をしているのは柱が1人と、……玄弥くんだと思います。』
不「…そうかァ。可能性は??」
『……ほぼ確実だと思います。』