第36章 兄の願い
玄弥の危機に、すぐ近くにいながら何も出来ない時透は懸命に刀を抜こうともがく。
そんな中、再び黒死牟が口を開く。
黒「…ほう。まだ絶命しない…胴を両断されても尚…。300年以上前…お前と同じく鬼喰いをしている剣士がいた…。その剣士は胴の切断で絶命したが…お前の場合は…首か…??」
そう言いながら黒死牟は自身の刀へと手を添える。
黒「貴様のような鬼擬き…生かしておく理由はない…。」
──チャッ
自身の死を直感した玄弥は、必死にバラけた肢体へ寄ろうともがく。
玄(這え!!腕を繋げろ!!急げ!!)
そんな玄弥を追い詰めるように迫る黒死牟の刃。
もうだめだ、と時透も玄弥も諦めようとした。
その刹那──…
一陣の風が吹いた。
────────────────── ────────