第36章 兄の願い
黒「何百年も…経っているのだ…詮方無き…こと…。私が…人間であった時代の名は…継国巌勝…。お前は…私が継国家に…残して来た…子供の末裔…。つまりは…私の子孫だ…。か」
その言葉に時透は目を見開いた。
時(子孫!?僕が!?こいつの!?まさか…信じられない。じゃあ、この男は始まりの呼吸の剣士!?)
黒死牟の言葉に時透の心は乱されていく。
そんな自身に気づいた時透はすぐに己を鎮めるため、言い聞かせる。
時(落ち着け!!取り乱すな。関係ない。落ち着け!!)
──スゥッ
何度も自身に言い聞かせ、震える手や乱れる心を鎮めることができた。
そんな彼をじっと見ていた黒死牟は時透の行動の評価をし始める。
黒「うむ…精神力も…申し分…ないようだ…。ほんの一瞬で…動揺を…鎮めた…。」
そんな事を言う黒死牟へ時透は怯むことなく刃を振るう。
ー 霞の呼吸 弐ノ型 八重霞 ー
完全に不意を突いた攻撃。
それなのに黒死牟の声は時透の背後から聞こえてきた。
黒「なかなかに…。良き技だ…。霞か…。成る程…悪くない…。」
ー 伍ノ型 霞雲の海 ー
慌てず素早く次の技を放つ時透。
──フッ