第35章 春の足音
し「まだ、鬼の始祖も残ってますがきっともう大丈夫。仲間の誰かが必ずやり遂げてくれる。私はそう確信している。」
仲間を想い、優しい表情を浮かべるしのぶ。
そんな彼女をただじっと見ていた童磨は自分の中に初めての感情が流れるのが分かった。
童(いや、さっきも一瞬感じた…。この娘の笑みを見て悪寒がした…。でも、悪寒じゃなかった…??)
童「わぁ…何だろうこれ。何だろう…。」
今まで何があっても飄々としていた童磨の声色が上がったことにしのぶは小首を傾げた。
し「どうしましたか??」
そんなしのぶに対し、若干頬を染め目を輝かせたような表情を浮かべながら童磨は嬉しそうに口を開いた。
童「今はもう無い心臓が脈打つような気さえする…。これが“恋”というやつかなぁ??可愛いね、しのぶちゃん。」
カ.伊「「は!?」」
思いもよらなかった童磨の言葉に、しのぶは思わずピタリと固まった。
それまで黙って聞いていたカナヲと伊之助も流石に声が出る。
けれども、初めての感情に童磨は全く意に介さず興奮したように話し続ける。