第35章 春の足音
そんな思いと裏腹に氷の風によりどんどん凍り固まっていくカナヲの体。
カ(あああ、腕が固まって…!!)
し「カナヲ!!」
そのとき、下の方から伊之助の大声がカナヲの耳に届いた。
伊「ぬおおおお!!獣の呼吸 思い付きの…投げ裂きィィィイ!!」
そう叫びながら童磨とカナヲのいる方へ向かって伊之助は自身の日輪刀を思い切り投げ飛ばす。
──ガッ
伊之助の投げた日輪刀は カナヲの日輪刀へ当たり、固まって動けずにいたカナヲの腕を手助けするようにカナヲの日輪刀を童磨の頸に押し込んでいく。
これには、童磨も目を見開いた。
童(刃が押し込まれっ…!!)
──ザンッ
斬られた箇所から血が噴き出し、童磨の頭が地面へと落ちていく。
童(えーー、頸斬られちゃった。)
それと同時に童磨へと押し寄せる後悔の念。
童(こんな雑魚に負けるなんて…俺が…。
あんな頸を斬る力も無いような剣士ですらない毒使いに。剣術の基礎も出来てないような奴に…。これで消滅するなんて俺が可哀想過ぎる。これ程人に尽くし世の中に貢献して生きてきた俺が…。)
そんな消え行く童磨の脳裏に理不尽な上官や消えてしまった友人のことがチラッと過った。