第35章 春の足音
カ「あそこです!!」
カナヲの指さす方をしのぶと伊之助も確認する。
し(あんなところに…!!毒は十分に効いているはずなのに、まだこんな大技を出せる程の余力があるというの!?上弦ノ鬼はどこまで化け物なのよ!!)
伊(何がどうなってんだ!?弱ってたんじゃねぇのかよクソ野郎!!)
カ(ここにきてこの大技。これ程の余力があるなんて…!!凍てつく空気が広範囲に充満…退いてしまうと回復の暇を与えてしまう。でも、これを吸うと戦えなくなってしまう…。)
3人ともまさかの事態に奥歯を強く噛み締める。
しかし、童磨の血鬼術を観察していたカナヲはあることに気がついた。
カ(…いや、よく見て。よく見てこの術を…。粗い。明らかに精度が落ちてる。苦し紛れの技なんだ!!最後の攻防だ…。私も“アレ”を使う時だ。)
そう考えるカナヲの脳裏に心配してくれるしのぶの言葉がよみがえる。
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し「その技を使うとカナヲは失明するかもしれない。眼球というものは繊細です。神経も血管も非常に細いので過剰に出力して負荷をかけるのは危険極まりない。」
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