第35章 春の足音
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杏と童磨が言い合いをしていた中、しのぶは懐から2つの小さな瓶を取り出した。
それを手にカナヲの元まで行き、日輪刀の鞘に小さな瓶の中の液体を半分ほど流し込む。
カ「しのぶ姉さん??一体何を…」
カナヲは突然のしのぶの行動に首を傾げる。
し「もう1つの私の奥の手です。」
カ「もう1つの…??」
し「えぇ。私1人ではこの手は使えませんでした。でも3人いる今なら…」
そう言って小さな声で説明するしのぶ。
カ「っ!!」
作戦の全貌を聞き、目を見開くカナヲの隣でしのぶはもう1つの瓶に入った液体を全て自分の日輪刀の鞘に流し込む。
し「いいですね??カナヲ。」
カ「はい、しのぶ姉さん。」
しのぶとカナヲは互いに頷き合い、言い合いがひと段落したところを狙って技を繰り出した。
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そして、カナヲが走り込んでくるのを見つめるしのぶもそのことを思い出し、さらに杏に作戦を伝えた時のことも思い起こしていた。
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カ「もういいから。嘘ばっかりつかなくていいから。」
童「何??」
カ「貴方の口から出る言葉は全部でまかせだってわかってる。悲しくないんでしょ??少しも。」