第35章 春の足音
──ドサッ
立っていることが出来なくなった童磨はそのまま地面へ倒れる。
倒れ込む前に童磨が見た最後の景色はしのぶの心底嬉しそうな笑みだった。
──ダンッ
体を維持できなくなった童磨は床へ這うように倒れ込む。
童(骨から溶けていく毒か??あの子の毒…だけど毒が回っていくような感覚も無かった。)
し「ふふっ。効いてきたようですね。どうです??私の毒の味は。気づかない程に美味でした??」
状況を分析しようとする童磨を見下ろし、楽しそうに微笑むしのぶ。
そんなしのぶの言葉に童磨はゆっくりと口を開く。
童「…全部、分解したと…思ってたんだけどなぁ。」
し「貴方が分解できていたのは私が喰らわせた毒のほんの一部だけですよ。私が喰らわせた残りの毒と杏さんとカナヲが喰らわせ続けた毒が今、貴方を蝕んでいるんです。」
しのぶは丁寧に毒の説明をする。
童「…2人が、来てから…毒を変えたんだね。だから…2人とも、1回…刀を振るう…度、に…刀を…鞘に戻してた、んだね。」
し「えぇ。この短時間で蓄積させる型の毒は私1人では与えられなかった。3人いたからできたことです。」
童「そっ、かぁ…。」