第35章 春の足音
伊「待てテメェ、逃げんな!!」
勿論、それを許すはずのない伊之助が叫び止めようとする。
そんな伊之助へ忍び寄る影に気づいたカナヲが咄嗟に叫ぶ。
カ「伊之助!!」
──ヒュッ
ー 血鬼術 蓮葉氷 ー
放たれた攻撃を上手く躱した伊之助は今度は人形に向かって怒鳴る。
伊「くそが!!邪魔すんな!!」
そんな伊之助たちを横目に童磨は人形と戦う3人を見ていた。
伊(ふーむ。あの子も俺の血鬼術吸わないね。どうしてかな。)
ー 血鬼術 寒列の白姫 ー
──フウゥゥゥッ
辺り一体を氷付けにする広範囲技。
それを瞬時に見抜いた伊之助は慌てて走り出す。
伊「何だこれ!?馬鹿か!!全部凍るのかよ!!ふざけんな!!」
そんな伊之助の立ち回りを見ていた童磨は謎が腑に落ちるのを感じた。
童(なるほど。皮膚感覚が鋭いようだ。僅な冷気をいち早く感じ取ってる…。いいね、今まで会ったことがない剣士だ。記憶しておこう。情報は有益。使える技も出しきらせて殺す。
今後の戦いに活かせるよう。)
ー 血鬼術 蔓蓮華 ー
──ギャギャギャッ