第34章 母の愛
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琴「可愛いね伊之助。
ちっちゃいおてて。
伊之助はあったかいねぇ。
私の宝物。
一緒にいられて幸せだねぇ。」
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微かな記憶からは母の愛と幸せな感覚が流れ込む。
だからこそ、懸命に息子を守り命を落とした母の人生を愚弄した童磨へ腸が煮えくり返るほどの憎悪が伊之助の中に溢れ出す。
そこに離れた場所にいた杏としのぶが前に出て伊之助に言葉をかける。
『伊之助くん。きっと、琴葉さんは幸せだったと思います。だって、命にかえても守りたい…そんな風に思える貴方がずっと側にいてくれたのですから。』
し「私も、そう思いますよ。こんなに可愛い息子がいて幸せでないわけがありません。」
伊「あぁ…、分かってる。」
杏としのぶの言葉に小さくそう返しながら伊之助は強く日輪刀を握り直す。
伊「本当に奇跡だぜこの巡り合わせは…俺の母親を殺した鬼が、目の前にいるなんてなァア!!」
──ビキビキビキッ
伊之助は青筋を浮かべ、殺気を放ちながら立ち上がると童磨へ日輪刀を向けた。
伊「謝意を述べるぜ!!思い出させてくれたこと!!ただ頸を斬るだけじゃ足りねぇ!!テメェには地獄を見せてやる!!」