第34章 母の愛
そう何度も謝りながら琴葉はふわりと伊之助を遥か下に見える川へと手放した。
その直後、
──バッ
琴葉は背後から斬り裂かれ、力なく倒れた。
──ドサッ
童磨は川へ落とされた伊之助が落ちていく様子を倒れた琴葉の上から眺めながら涙を流した。
童「こんな所から落っことして助かるはず無いのに、最期まで頭の悪い娘だなぁ…。母親に崖から落とされて死ぬなんて…可哀想。」
──ドボン
幼い伊之助の体は川の中へと吸い込まれていった。
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断片的に残っていた微かな記憶が童磨の話により1つに繋がる。
伊(殺された……母親…俺の……。)
ただ呆然とする伊之助。
杏としのぶ、カナヲも目を見開いて固まってしまう。
そんな伊之助へ童磨はニコッと笑いながらその後の話を始めた。
童「骨まで残さず喰べてあげたよ!!家に戻っても旦那に殴られるし1人じゃ何も出来ないから母子で野垂れ死にだし。
不幸だよねぇ琴葉。幸せな時ってあったのかな??何の意味もない人生だった。」
そんな童磨の煽るような心無い言葉にカナヲの方が思わず叫んだ。
カ「いい加減にしろ!!下衆が!!」
そんな中、伊之助の中へ流れ込む温かく優しい幸せな記憶。