第34章 母の愛
その歌詞を聞いた伊之助の脳裏にぼんやりと残っていた記憶が蘇る。
────────
────────────────
「ゆびきり げんまん
お守りしましょう
約束しましょう
あなたが大きくなるまでは
母さんひとりで守りましょう
ごめんね、伊之助。寂しい思いをさせるけど、父さんのぶんもたくさん頑張って母さんが守るからね。
命に代えても伊之助は母さんが守るからね……。」
優しく微笑む自分とよく似た女性。
────────
────────────────
──ドクンドクン
心臓が大きく脈打つ。
童「指きりの歌毎回歌詞が違うんだよね。途中から狸の歌になったり可愛かったなあ。」
懐かしむように話す童磨。
杏(またそんな伊之助くんを煽るようなことを言って…!!)
また伊之助が突撃するのでないかと杏は横目で見るも、伊之助には動揺の方が大きかった。
──ドクンドクン
伊(しのぶじゃなかった。しのぶだと思ったけどしのぶじゃなかった。)
そんな伊之助をよそに、童磨の話は続く。
童「寿命が尽きるまで手元に置いといて喰べないつもりだったんだけど、お母さんは…そうだ“琴葉”は頭が鈍い分、感覚が鋭かったみたいで信者を喰ってるのがバレちゃった。説明しても俺の善行を理解できなくて…まあ罵る罵る、酷い嘘つきって ずーーっと。それで俺の寺院を飛び出して行っちゃったから…。」