第34章 母の愛
童「いや、あるよ。俺は君を知ってる。」
伊「ねぇっつってんだろうが!!糞が!!」
童磨は何故か伊之助君に会った事があると言い出し、伊之助は会った事がないと言う。
伊之助はチラリ、と後ろを振り返ってしのぶを見る。
伊(俺が何処かで会ったことあるのはしのぶの方だ。しのぶ。何処かで昔会った気がする。)
明らかに冷静ではない伊之助をカナヲは慌てて宥める。
カ「伊之助冷静に。アイツは適当なこと言ってるだけだから…。」
童「適当??心外だなぁ。俺は真面目だけが取り柄なのに。それに記憶力も良いんだよ。人間の時の事だってよく覚えてるし。」
杏としのぶも童磨の煽りで伊之助が冷静を失っていくことに焦りながらも童磨の隙を窺っていた。
そのとき──…
童磨は畳んだ扇を口に咥え、こともあろうことか自分の指でこめかみを突き刺し、物理的に脳内を探りだした。
そんな童磨の奇想天外な行動には、杏もしのぶもカナヲも伊之助も顔が青褪める。
伊「うえーーーっ!!何してんだキッショオ!!」
『気持ち悪…。』
だが童磨はそんなことはお構いなしにグリグリグリと脳内をかき混ぜるかのように何かを探している。