第34章 母の愛
伊之助が日輪刀を振り下ろすが、何も起こらない。
童(ほら、全然届いてないでしょ…。)
そう思った瞬間、
──ビチッ
童磨の両目が斬り裂けた。
童「!!」
届くわけのない斬撃が届いたことに驚き、童磨は目を見開く。
童(斬撃が届いた…。)
驚きながらも、冷静に伊之助を見る童磨。
ー 獣の呼吸 玖ノ牙 伸・うねり裂き ー
その目に映ったのはぐにゃぐにゃになった伊之助の腕だった。
杏(えっ…??)
し(腕の関節を…)
カ(全部外してる??)
その伊之助の腕に杏やしのぶ、カナヲも目を見張る。
しかし、カナヲはすぐに先のことを考える。
カ(でも…この後どうするの??そんな腕じゃまともに刀なんて振れないんじゃ…)
しかし、そんなカナヲの心配をよそに伊之助は大きく舌打ちをする。
伊「チィッ!!」
そして、ガチンガチン‼︎と音を立てて腕の関節を元に戻す。
伊「クソッ!!新技はまだ精度がイマイチだぜ!!頸狙ったのにズレちまった!!」
まるで何事もなかったかのように関節を外していた方の腕をブンブンと振り回す伊之助に流石に3人とも目をまん丸にして見開く。