第34章 母の愛
童「アッハハ!!滅茶苦茶な技だな。刃毀れした刀に変な太刀筋。それで成立してるんだから。ほんと面白い!!」
そう言いながらも、容赦なく伊之助の首へと扇を振るう。
けれど、その攻撃はスルッと躱されそのまま扇の側面を伊之助は蹴り上げた。
──バキィィィン
その威力は凄まじく、童磨は扇を持ってる手が蹴られた反動でビリビリするのを感じながらも、笑顔を絶やすことなく再び口を開く。
童「わー、体柔らかい!!凄いや。」
杏(伊之助くんすごい。あのほんの僅かな稽古でここまで…。それに─…)
杏は伊之助の短期間での成長に驚きながらも、童磨の足元を見て笑みが溢れる。
童「その頭は被り物だよね??君──…」
そう言いかけた童磨は、自分から間合いを取りカナヲの隣へ着地した伊之助を見て、はっとした。
伊之助の手に日輪刀がもう1本。
童磨は先ほど奪って足元に刺していたカナヲの日輪刀が無いことに気づく。
伊「これ、お前の?」
カ「う、うん。」
伊「もう取られんなよ。」
し「ありがとう、伊之助くん。」
──フッ
そんなやり取りをしてる3人目掛けて童磨が目前まで迫り来る。