第2章 甘味処〈さくら〉
ニコッとほほえみ、杏の頭を軽く撫でるのは、長女 音白 ゆり。20歳。胸元まで伸びている髪をゆりの花がモチーフの装飾のついた髪紐でみつ編みにしている少女。黒い瞳で、漆黒のように黒く美しい髪は毛先がほんのり青色に染まっている。主に、調理を担当しているおっとりとした一家の大黒柱。縁談はつばきをも上回る数来ているが、妹たちがみんな嫁ぐまで結婚する気はないからという理由で片っ端から断っている。
4姉妹の両親は数年前に他界しており、両親の残した家とこの店で生活している。
『へへへ。ありがとう、ゆり姉さん。』
姉に撫でられ、ご満悦な杏。
そのまま店の方へ戻り、もみじと共に机を拭いていく。
するとすぐに、お客さんがやってくる。
客B「おはよう、もみじちゃん。杏ちゃん。」
あ/も「いらっしゃいませ!!」
も「こちらへどうぞ。」
まだ開店したばかりだというのに、続々とお客さんが店に入ってくる。
慌ただしく動き回る4姉妹。
ゆ「杏ちゃん、お抹茶とみたらし団子できたわよ。」
『はーい!!』
も「ゆり姉さん!!お抹茶とおはぎ2つずつはいりました!!」
ゆ「はーい。」
つ「はい、確かに丁度いただきました。
ありがとうございました。」
ゆ/つ/も/あ「ありがとうございました!!」