第21章 farewell~edelweiss~
菜緒はゆっくり目を開けた
(ここはどこ?)
寝ぼけた頭で周りを見渡せばここは病院だということに気付いた
『っ身体重い』
そう思って自分の身体を見渡せばそこには久方ぶりに見る顔があった
『酒坂さん・・・』
「んっ~」
菜緒に寄り掛かって寝ている酒坂だった
菜緒は最初は遠慮と罪悪感で優しく呼んでいたが全く起きる気配のない酒坂
菜緒も徐々に苛々が募っていき最後には
『おい,起きろじじぃ!』
怒鳴っていた
「おっわぁ!!」
酒坂は驚いた様子で起き上がり,声が聞こえた方に目をやると
そこには苛立ってはいるが目が覚めた菜緒がいた
「・・・菜緒・・・」
『はい』
「生きてるよな?」
『生きてます』
「本当に本当に生きてるよな‼」
『だから生きてますって!!』
「おぉ~!!!」
よくわからん叫び声と同時に酒坂は菜緒に抱き着いた
『わっちょ!!苦しい』
「お前,マジ,ふざけんな。マジ,ここ1か月以上,俺の方が胃に穴あきそうだったし,死ぬかと思ったんだぞ!!相澤さんも何も教えてくんなかったし。電話来たと思ったら,お前病院で1週間目を覚まさないし,マジで死ぬ,死ぬかと思ったわ」
酒坂は菜緒を抱きしめたまま話続けた
「も~本当に「酒坂さ~ん。菜緒ちゃんどうですかって菜緒ちゃん⁉目が覚めてる⁉」
『やっほ~いざちゃん,沙織ちゃん。これどうにかして』
「ちょっ色々突っ込みたいけどとりあえず酒坂さん落ちついて!菜緒ちゃんから離れて!」
そう言って居酒は酒坂を菜緒から離した
そうして漸く落ち着いたとしても
酒坂はずっと泣いている状況だ
「酒坂さ~ん。いい加減泣き止んでくださいよ~菜緒ちゃんも呆れてますよ」
「だっだってよ,菜緒も死ぬんじゃないかって思ったらよ,俺」
「あ~もう,なぁ沙織も少しは一緒に酒坂さん泣き止めるの手伝ってくれよ」