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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第4章 ー天使と巨人ー


「もう肩車してもらえなくなっちゃったねー」

女子だと知った後だからだろうか。
再び残念そうに眉を下げる律はとても可愛らしく見える。

「あのさー、そんなに高い高いとか肩車とかが好きなワケ?」

「うん。よくお兄ちゃんとか鉄平くんとかにしてもらってたんだー」

「いや、鉄平くんとか誰だしー」

さらりと知らない人物の名前を口にする律に、当たり前のツッコミをする。
律は「んー、幼馴染み?んー、先輩?あ、お兄ちゃん?」と顎に手を当てながら首を捻っていて、紫原には『鉄平くん』がどんな存在かはわからなかった。
なので、話題を戻すことにする。

「そんなにいいもんなの?肩車ってー」

「うん!いつもと周りが違うく見えるんだよー!」

今日1番の笑顔でそう言われれば、これからもしてあげたいと思えてしまう。

「別にこれからも肩車くらいすればよくない?オレも橘ちんにお菓子もらえなくなるのは困るしー」

「でも、赤司くんがダメだってー」

「橘ちん、人の話はちゃんと聞かなきゃダメだよー。赤ちんは『持ち上げるの禁止』って言ったんだよー。だからさー」

紫原は律に背中を向けてしゃがむ。

「今度からは自分でのぼりなよー」

もう肩車はしてもらえないと思っていた律は紫原の提案が意外だったのか、呆気にとられたように紫原の背中を眺めていた。
しかし、「早く乗りなよー」と促されれば、「うん!」と元気よく返事をして背中をよじ登って首をまたいだ。
紫原は律の体重が完全に乗ったのを確認すると、「よいしょっと」何の苦もない感じられない掛け声を上げて立ち上がった。
視界が一気に高くなると、いつものように楽しそうな律の声が降ってくる。
それを聞くだけで紫原も楽しい気持ちになるし、戦隊物のロボットように律に操縦されて歩くのも悪くなかった。

ただ3メートル近い人間複合体はとても目立つ。
その後すぐ赤司に見つかり、冷たい詰問を受けることになったのは言うまでもない。

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