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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第3章 ー天使は才を慈しむー


「今日からマネージャーで入部しましたー、橘律です。えーと、4月に転校してきました。んーと、前の学校でもバスケ部でしたー」

第一印象は、ゆるんだ表情がだらしないため気に入らない、だった。
ただ赤司が連れてきたのだったらきっと何か目論見があってのことだろう。
そうでなければ、たかがマネージャーが入部したくらいで皆に集合をかけてまで紹介などしない。
だったら文句は言うまい。
紹介が終わったと同時にオレはさっさと練習に戻った。

橘とかいうマネージャーには桃井がついて仕事を教えるらしい。
しかし、練習中はほとんど体育館にいてオレ達の練習をただ眺めていた。
ボーッと眺めては何かを思いついたようにノートに何か書き込む。
そして、また眺める。
その視線の先を追うと赤司がいた。

練習が終わると2人で別室に入っていった。
そして、15分ほどして部屋から出てきた。

「ありがとう。君の力はだいたいわかった。これからもよろしく頼むよ」

そう言うと赤司は優しく微笑んで橘の頭を撫でてやった。
それに答えるように橘も嬉しそうに笑みを零した。

「じゃあ、気をつけて帰るんだよ」

「うん!赤司くんもねー」

橘は手を振って去っていった。
それを笑顔で見送っていた赤司だが、その姿が見えなくなると浮かべていた笑みはスッと消えた。
そして、こちらを見る。

「いたのか、緑間」

「2人で部屋に入っていくところが見えたのでな。あいつは何なのだよ?」

あの赤司がこんな時期外れにわざわざ入部をさせて、いきなり一軍のマネージャーに就かせるのだから何かあるはずだ。

「橘か?彼女はとても素晴らしい特技を持っているんだ。今後、オレ達は彼女に大いに助けられるだろう」

赤司はオレの訝しげな視線も涼しい顔で受け流し、勿体ぶるように言う。
結局オレはさらに質問を重ねなければいけない。

「どういう意味なのだよ?」

「百聞は一見にしかず。彼女の力は実際に体験した方が理解できるだろうから、明日はお前を見てもらうとしよう」

口角だけ上げる赤司は時々見せる他人のような顔つきで、オレは目を見張る。

赤司がなぜ橘を連れてきたのか、明日になればわかるというのだろうか?

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