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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第1章 プロローグ ー天使は飛び立つー


その後、律は救急車で運ばれ、治療のために入院することになった。
火傷の範囲は広く深く、一時は意識不明であった。
意識を取り戻してもひどい痛みと向き合わなければならなかった。
それなのに、律は音を上げることはなかった。
病院スタッフにも笑顔で対応したし、大部屋に移動になったときは同室の患者とも仲良くしていた。
辛いリハビリも精力的に行った。

入院期間は長くなり、律が再び学校に行けるようになったのは年が明けてからだった。
退院となっても火傷をした足は皮膚がつっぱり、歩くときは少し引きずるようになってしまう。
火傷の痕が見えないようにもう制服を着ることはできなかった。

学校に行くとみんな一斉に律の方を見た。

「おはよー、久しぶりー」

以前と変わらない笑顔で挨拶する律。
しかし、律に声をかける生徒は誰一人としていなかった。
目も合わせられなかった。
もちろん、嫌がらせもなくなった。
ただ律と一定の距離を置き、まるで触れてはいけない物のように、まるでそこにはいないかのように振る舞われた。
寸胴を倒したクラスメイトは律と同じ教室にいるだけで顔が青ざめ、始終俯いて震えていた。
担任も気は遣ってくれるが、腫れ物を扱うようだった。

自分がいることでクラスがこんなにも塞ぎ込み、沈んでしまう。
そんなクラスの雰囲気が律にとっては悲しかった。
律は2日登校した後、もうそのクラスに行くことはなかった。
そして、中学2年に上がるのを機に転校したのだった。

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