第4章 わっしょい
「えっと、もうそろそろ完成するはずだと聞いていますが……」
咲がそう言って首をかしげた時、しのぶが少し大きめの木箱を持って廊下を歩いてくるのが見えた。
「完成しましたよ」
「しのぶさん!」
しのぶの持ってきた木箱。
その中には完成したばかりの咲の義足が入っていた。
箱の中を覗き込みながら、咲が「わぁー」と感激したような声を上げる。
それを微笑みながら見つめて しのぶが言う。
「これはまだまだ完成したばかりのものですので、これから使用しながら少しずつ調整を重ねていかなければなりません。義足を使いこなすためには相当な練習が必要になります。ゆっくりでいいです。少しずつ練習していきましょうね、咲」
この数ヵ月熱心に看病してくれたのは、もちろん、なほ、きよ、すみやカナヲだけではなく、しのぶも同じだった。
しのぶにとってこの屋敷で働いてくれている女の子達は自身の妹のような存在であり、その中には咲も含まれるようになっていた。
以前は少し他人行儀に「咲さん」と呼んでいたものが、今ではすっかり親しみを込めて「咲」と呼ぶようになっている。