第4章 わっしょい
縁側に腰掛けて、三人は少女達が持ってきてくれたお茶を飲んで一息つく。
話す内容は他愛もないことが多く、任務先の定食屋で食べた鯛の塩焼きが美味かったとか、趣味で飼育しているカブトムシが順調に増えているとか、そんなものだった。
一方の咲が話せることといえば、蝶屋敷の中で起こった小さな出来事や天気の話くらいだ。
何しろ咲はこの蝶屋敷に運び込まれてからというもの、屋敷の外には一歩も出ていない。
歩くことがままならないので外出すること自体が難しいのだ。
今は練習の成果もあり松葉杖を使って少しは歩けるようになってきていたが、やはり元通りという訳にはいかなかった。
松葉杖自体にもそれなりに重さがあるし、それをずっと掴んでいなければいけないので腕も疲れ、挟んでいる脇の下にも負担がかかる。
それゆえに、屋敷の中であってもそれほど長時間は歩いていられないのが現状であった。