第4章 わっしょい
そして杏寿郎の方だが、こちらも身長が高く、かなり鍛え上げられた肉体をしている上に、あのハツラツとした、ともすればやかましいとも言われかねない話し方である。
どこを見ているのか分からないようなギョロギョロと動く目玉も相まって、不死川とはまた違った迫力があった。
だがこちらもまた、ニコリと微笑んだ顔が春の太陽みたいな温かさであり、緊張していた気持ちを一瞬で溶かしてくれるような力があった。
ところで、蝶屋敷には鬼殺隊の中でも「隠」と呼ばれる部隊の隊士達が、怪我人の搬送などで頻繁に訪れているのだが、いずれの隠も、杏寿郎と不死川のことを恐れているように見えた。
咲は鬼殺隊内での二人の評判はよく知らないが、咲達に見せてくれるような笑顔を常に浮かべていれば、隠達にもあそこまで怖がられないのではないか、などと思ったりもするのだった。