• テキストサイズ

【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第4章  わっしょい



倒れ込みそうになった咲の体を、慌てて杏寿郎と不死川が支える。

「無理をするな、咲!」

「そうだァ。起き上がれてるだけでも十分上等なんだ」

そう呼びかけられた時、咲はまたもやハッとした。

「あっ、申し遅れました。私は、兎田谷蔵 咲と申します」

そう言って、今度は体のバランスを崩さない程度に頭を下げる。

「うむ!俺は煉獄杏寿郎だ!」

「俺は不死川実弥だァ。ところで咲」

不死川がふいに自身の名前を呼んで真っ直ぐに見つめてきたので、咲は少しビクリとする。

ちょっと怖かったのだ。

「その”様”ってのはやめろォ。不死川でいい」

「……っ、はい。あの……では、不死川さん…?」

「よォし、いい子だァ」

ふわっと頭に大きな手が乗せられるのを感じて、驚いて咲は顔を上げる。

だが、その視線の先にあった顔にもっと驚かされた。

誰彼構わず噛み付きそうに見えていた不死川の傷だらけの顔に、本当に優しそうな笑顔が浮かんでいたからだ。

笑うと全く顔の印象が変わってしまう。

まるで別人だ。

「むう!では俺のことも”様”無しで頼む!」

「は、はい。……煉獄さん」

「うむ!!どうした咲!!」

いや、どうしたと言われても、と咲は思わず心の中で突っ込んでしまったが、全く頓着していない様子の杏寿郎は、すでに次の話題に移ろうとしていた。

/ 525ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp