第4章 わっしょい
その時、ドヤドヤと急に廊下が賑やかになり、ふすまの向こうから「失礼するぞ」と声がかけられた。
「どうぞ」
と、しのぶが返事をすると、スラリとふすまが開き、煉獄杏寿郎が入ってきた。
あっ、煉獄さん、と咲が思うのと同時に、杏寿郎の後ろからさらにもう一人の男が入ってくるのが見えた。
「あら、不死川さんもご一緒だったのですね」
しのぶの言葉に咲は、この人が不死川実弥さんか、と思い、まじまじとその姿を見つめる。
大きくはだけられた胸元には無数の傷跡があり、顔面にも同じ様な傷跡がいくつもあった。
見える限り体中傷だらけで、そでまくりした腕にも大きな傷跡が見えた。
ほんのりと赤みがかった灰色の髪は逆立つように天を向いており、三白眼ぎみで大きく見開かれた瞳は……こんなことを思うのは失礼だとは分かっているが、やや狂気じみて見えた。
有り体に言えば、怖そうな人だと思った。