第4章 わっしょい
それからまた数日して、咲の体調はさらに改善した。
足を失ったことはまだまだ受け入れられるものではなかったが、先日自分が取り乱してしまったことはハッキリと覚えていたので、咲は診察にやって来たしのぶに頭を下げた。
「先日は、見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ありませんでした……」
そんな咲の礼儀正しさに、しのぶは優しく微笑みかける。
「いいのですよ。それに、煉獄さんが丁度いらしてくれたので、大事には至りませんでしたし」
煉獄さん、と呼ばれた名前に、咲は朧げながら覚えている、自身を抱きしめて落ち着かせてくれた人のことを思う。
「あの方のお名前は、煉獄さん、とおっしゃるのですか?」
「はい。鬼殺隊の煉獄杏寿郎さんといいます。咲さん、貴女の一家を襲ったのは”鬼”と呼ばれる異形の者です。鬼殺隊というのは読んで字のごとく、鬼を殺すための組織です。日夜、鬼を倒すために尽力しています。彼も私も、その隊士の一人なのですよ」