第4章 わっしょい
「えっ、あ、あ」
ぶわっ、と全身に汗が噴き出してきて、咲は喉の奥から胃がせりあがってくるような感じがした。
足が……私の足が無い。
どうして。
そうだ…確か、あの時鬼が私の右足に噛み付いて……それで……それで……。
ボキンッて音がした。
そうだ、あの時確かに私は、それが骨を断たれる音だと感じたんだった。
「あぁあぁぁ」
頭の中に様々な記憶がよみがえってきて、ボタボタと涙がこぼれ落ちた。
頭が、全身が、カアーッと熱くなって、もう、自分でも自分がどのような状態になっているのか分からなくなった。
「咲さん、落ち着いてください!」
パニックを起こした咲の事をしのぶが慌てて押さえつけようとするが、必死の人間の動きを制することは相当難しかった。
咲の体を支えていた少女達も、突然の事態にどうしたら良いのか分からなくなり、オロオロと目に涙を浮かべている。