第4章 わっしょい
「むう、そうか。少し掘りすぎてしまったか」
「むう、確かに千寿郎の言う通りだな」
そう言う二人の姿が本当にそっくりだったので、咲は思わず笑ってしまった。
「まぁ、何はともあれ、お疲れ様でした父上。丁度イモが焼けた頃合いですよ。どうぞお召し上がりください」
咲達にやってくれたように、杏寿郎は落ち葉の中から新たに一本さつまいもを掻き出すと、布にくるんで槇寿郎に渡した。
それからもう一本自分用に取り出すと、大きな口を開けてかじりついた。
そして開口一番、叫んだのだった。
「わっしょい!」
それを聞き咲は顔をほころばせる。
「ふふっ、杏寿郎さんは相変わらずですね」
あぁ、こうしていると本当に楽しくて、心が穏やかになる。
あの頃は、まさかまたこんな穏やかに過ごせる日がくるなんて思いもしなかった……。
そう思いながら咲は手に持ったさつまいもを見下ろして、数年前の事を思い出したのだった。