第4章 わっしょい
杏寿郎の好物はさつまいもである。
だから昔から、煉獄家ではよくこうして庭で焼き芋をする。
手際よく用意された落ち葉の山の中で、紫色の丸々としたさつまいもが良い匂いを漂わせ始めた。
「どれ、そろそろ良い頃合だろう」
そう言って杏寿郎がさつまいもを落ち葉の中から引き出すと、布にくるんで二つに割り、咲と千寿郎に手渡してくれた。
ホクホクと湯気を立てるさつまいもは、非常に綺麗な黄金色をしていてとても美味しそうである。
「あつっ!ふっ、おいしい!」
「おいしいですね!」
キャッキャと嬉しそうにさつまいもを頬張っている二人を見て、杏寿郎も嬉しそうに笑う。
「この芋は父上が畑で育てたものだ。咲が来た時に食わせるんだと言ってな」
「えっ、そうなんですか!?」
あの槇寿郎が畑仕事をしている姿が想像できなくて、咲はつい大きな声を上げて驚いてしまった。