第4章 わっしょい
「ところで、おじさまは?」
咲の言う「おじさま」とは、杏寿郎・千寿郎の父で、この屋敷の主である煉獄槇寿郎のことである。
「はい、父上は奥の部屋に……」
そう千寿郎が言いかけたところで、廊下をミシミシ鳴らしながら槇寿郎がやって来た。
どうやら咲の声を聞きつけて部屋から出てきたらしい。
「おぉ、咲か。よく来たな」
槇寿郎の顎には無精ヒゲが生えたままになっていて着流しも少し着崩れていたが、杏寿郎・千寿郎とよく似たその顔には、二人と同じ笑顔が浮かんでいた。
「槇寿郎おじさま、ご無沙汰しております」
咲がペコリと頭を下げると、「うむ」と槇寿郎は大きく頷いた。
「息災なようでなによりだ。任務で忙しいとは思うが、たまには顔を見せてくれ」
「はい」
一通りの挨拶が済んだところで、杏寿郎が声を上げ提案した。
「よし、久しぶりに咲が来たことだし、皆で焼き芋でもしよう!」
「それはよいですね、兄上。さっそく落ち葉を集めてまいります」
千寿郎も嬉しそうに言って、一同はさっそく庭へと場所を移したのだった。