第3章 おはぎと抹茶
「義足はアオイさんが直してくれたので全く問題ありません!!これからはもっと気をつけますから!!」
そう言って、義足側の足をヒョイヒョイと動かしてみせると、それを見た不死川は少しだけ落ち着いた様で、しゃがみこんで咲の両肩を大きな手でそっと掴んできた。
「本当に本当に、もっと気をつけるんだぞォ?お前が鬼に襲われたと聞くと、俺は気が気じゃなくなる。お前が千人分の栄養価を持った稀血だからってだけじゃねェ。お前は妹みてェなモンだからだ」
黒目の極端に小さな三白眼で正面から見据えられて、普通に見たらかなり迫力のある表情だったが、不死川の優しさを理解している咲はジーンと目の奥が熱くなってくるのだった。
なんとか落ち着いたらしい不死川と再びおはぎを一緒に食べながら、咲は鬼に襲われた経緯や、加勢に来た杏寿郎があっという間に鬼を倒してしまったことなどを説明した。
「煉獄がいたのかァ。それを最初に言えェ。それなら心配いらねェ」
「ごめんなさい」
「いや、俺もさっきは大きな声を出して悪かったなァ」
ペコリと下げられた咲の頭を、不死川の大きな手がわしゃわしゃと撫で回す。
髪がボサボサになっていくのが分かったが、咲は嫌な気分ではないのだった。