第3章 おはぎと抹茶
咲はこれから、風柱である不死川実弥の屋敷を訪ねることになっている。
鴉では運べない届け物をするためだ。
咲は鬼殺の事後処理任務に当たることもあるのだが、主に給料の受け渡しや荷物の配達などを行っており、その担当隊士には炭治郎達の他に柱の面々も含まれている。
他の隠達は、鬼殺隊最高位の彼らのことを怖がってしまい、だから柱達と面識のある咲が全柱の担当になっているのだ。
柱の中でも、特に風柱は恐れられている。
なぜなら、全身傷だらけの風貌が恐ろしげであるし、その見た目に違わぬ好戦的な言動、血走った双眸、極めつけに羽織の背にデカデカと入れられた「殺」の文字により、隠達からしたら、恐怖の権化のような存在であったからだ。
恐らく、隠100人に聞いたら99人が怖いと言うだろう。
だが、咲だけは少し違うのだった。