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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第22章  番外編 其の参



「…それにな、実を言うと俺と咲が出会ったのも、彼女が10歳の時だったのだ。俺は、千寿郎とたいして年の変わらない咲に恋をした。当時俺は16歳だったから、今のお前と同じような気持ちを抱いたものだ。どうだ?お前は父をおかしいと思うか?」

少し眉を下げて、困ったような、照れたような表情をして見つめてくる杏寿郎の顔を見て、靑寿郎はブンブンッと首を大きく振った。

「滅相もございませんっ!!そんなことは微塵も思いません!!父上と母上の、お互いを想い合い慈しむ心を俺は何よりも尊敬しております!!」

「うむ!ありがとう!!ならばお前もそうだ靑寿郎!!お前はおかしくなどない!!」

「…っ!!父上っ!!」

ぽむち、と肩に杏寿郎の手が乗せられ、その手のひらの大きさと温かさを感じながら靑寿郎は何度も頷いたのだった。

その後、頃合いを見計らって咲が座敷に戻ってきた。

手には茶と菓子を乗せた盆が持たれている。

「母上ありがとうございます!俺が」

そう言って靑寿郎は咲から盆を受け取ると、杏寿郎の前に湯気の立つ茶を差し出し、座ろうとして屈んだ咲に手を貸した。

無事に座布団に収まった咲は、片膝をついて自分を支えてくれていた息子の顔を見上げてにっこりと微笑んだ。

「靑寿郎、こちらへ」

つないでいた靑寿郎の手をぎゅっと握り直す。

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