第22章 番外編 其の参
無事に祝言を上げた桜寿郎達は、煉獄家本宅では妹の火凛や弟の靑寿郎もいてさすがに手狭であることから、千寿郎一家が住んでいた別宅に移りそこで新婚生活をスタートさせることになった。
というのも、桜寿郎の結婚とほぼ時を同じくして千寿郎夫妻には初の子どもとなる娘・詩織が生まれており、手頃な屋敷を見つけたからとそちらを購入して引っ越すことになっていたからだ。
その後に収まる形で桜寿郎達が入居したという訳だった。
千寿郎夫妻には結婚後もなかなか子どもができなかったが、10年目にしてやっと授かった子であった。
そういうなかなか子宝に恵まれない夫婦がいる一方で、すぐに子を授かる幸運な夫婦もいる。
祝言から約一年後、桜寿郎夫妻には第一子となる元気な男の子が生まれた。
真寿郎(しんじゅろう)と名付けられたその子は、杏寿郎夫婦にとっては初めての孫であった。
当然杏寿郎と咲は大喜びし、曽祖父となった槇寿郎も可愛さで爆発した。
漢字こそ違うものの、自身の名前と同じ響きを持ったそのひ孫に槇寿郎はデレデレに溶けきっており、その様子は時に杏寿郎や桜寿郎を苦笑させるほどであった。