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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第22章  番外編 其の参



「父上と母上の仲がおよろしくて、俺はとても嬉しいですっ!!」

「む…むむ…」

珍しく赤面するほどに照れていた杏寿郎だったが、心を落ち着かせるようにちょっと俯いた後、ニッコリ笑って桜寿郎を引き寄せた。

首に腕を回され引き寄せられた桜寿郎は、不覚にも杏寿郎の膝の上に倒れ込むような格好となる。

杏寿郎の膝に落ちてきた桜寿郎の体の上に、上から覆いかぶさるようにして咲もポフンと倒れ込む。

「ち、父上っ!?母上っ!?」

今度は桜寿郎が慌てる番だった。

そんな桜寿郎に、まるで大砲のような声で杏寿郎が言った。

「俺達も、お前が元気で健やかにいてくれて嬉しいっ!!」

そして二人は、挟み込むようにしてぎゅうっと桜寿郎を抱きしめた。

「!!」

桜寿郎は頬を少し赤くしながらも、両親の温かな腕に包まれホワホワと杏寿郎そっくりの顔で笑ったのだった。


その後桜寿郎は、20歳で結婚した。

相手の女性は現役の隠であり、なんと咲の隠時代のことを知っていた。

咲が隠を引退したのは20年も前のことだが、片足しかない不自由な体で任務に当たっていたことや、片腕を喰われながらも柱達と協力して上弦に匹敵する強さの鬼を倒したこと、そして何より現・炎柱の妻であるという経歴から、今でも語り継がれていたのだ。

それを、その女性も先輩隠から聞いて知っていたという訳だった。

桜寿郎が初めて家にその女性を連れてきた時にその話を聞き、咲は嬉しいような恥ずかしいような気持ちになり、一体どんな顔をしたら良いのか分からなかった。

だがそんな咲の繊細微妙な気持ちには気づかない杏寿郎と桜寿郎は、「さすがは俺の妻だ!!」とか「さすがは俺の母上!!」と無邪気に喜んでいたのだった。

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