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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第22章  番外編 其の参



その日、杏寿郎は非番であった。

いつものように咲と二人並んで縁側に腰掛けている時、ふと杏寿郎は隣に座る妻の髪が陽の光を浴びてキラキラと輝いているのを見て、無性に愛おしくなった。

杏寿郎と咲は相変わらず仲が良く、いまだに口吸いは必ず毎日していた。

今、槇寿郎は町に出かけているし、桜寿郎は任務先からまだ戻っていない。

火凛は夕飯の買い出しに行き、10歳になった靑寿郎は鍛錬の一環として外に走り込みに行っている。

今この家には杏寿郎と咲の二人しかいなかった。

ちなみに第三子の靑寿郎だが、青い炎のような男になれと込めた願いの通り、兄の桜寿郎とはまた違ったクールで冷静沈着な性格の男子へと育っていた。

今までの煉獄家にはあまりいなかったようなタイプであり、その冷静さはどことなく杏寿郎の母・瑠火に似ていた。

生まれつき視力がやや弱いためメガネをかけているのだが、そのメガネを親指と中指の腹でクイッと押し上げる仕草が、非常に理知的な印象を見る者に与えた。

だがこの靑寿郎、実はきょうだいの中で一番のおっちょこちょいである。

ごくたまに些細な失敗をする。

と言っても内容は毎回大したことではなく、むしろ愛嬌のあるものばかりである。

だが靑寿郎はその性格の真面目さからそれを必要以上に恥じてしまい、大げさに赤面して慌てるようなところがあった。

それがまた普段のクールな振る舞いとのギャップを深め、非常に可愛いのだった。

その靑寿郎もまた杏寿郎の弟子となって日々鍛錬に励んでおり、兄である桜寿郎からも指導を受けている。

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