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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第22章  番外編 其の参



その祝言から5年後、15歳となった桜寿郎は最終選別を無事に突破し、晴れて鬼殺隊へと入隊した。

すでに大ベテランとなっている炎柱の父・杏寿郎の継子として引き続き厳しい修練に励み、共に任務をこなしながらメキメキと実力を伸ばしていったのだった。

杏寿郎は今までの戦闘で得た知識と経験の全てを伝授するべく、ますます熱心に桜寿郎の指導に当たった。

おかげで桜寿郎は毎日疲れ果てて、寝るというよりも気絶するといった感じで床につくことが多いのだった。

ところでこの頃の槇寿郎についてであるが、彼は咲が嫁いで来てくれたことや孫が生まれたおかげで、どんどんと昔の明るさを取り戻してきていた。

最愛の妻を失い、日の呼吸の剣士の圧倒的な力を知ったことにより己の無力に絶望してしまった頃に生まれた陰りが、少しずつだが薄れてきたのだ。

そして心が明るくなってきたことで考え方も前向きになり、いつしか、

「俺に出来なくても、次に繋げばいい。きっと杏寿郎が、孫達が成し遂げてくれる」

と思えるようになったのだった。

孫や咲には素直に向けられる笑顔は、まだまだ息子達にはバツが悪くて見せることができないでいたが、それでも槇寿郎は少しずつ杏寿郎達に歩み寄ろうとしていた。

槇寿郎は、かつて自分が炎柱であった頃の知識や経験を杏寿郎に伝えるようになり、そのおかげで杏寿郎はますます技に磨きが掛かっていったのだった。


桜寿郎が入隊してから5年。

幼かった桜寿郎も、今では成人の立派な男へと成長していた。

桜寿郎は幼い頃から父親の杏寿郎そっくりであったが、ふとした瞬間に見せる表情などは咲の面影を感じさせることがあった。

また、性格も杏寿郎より少し落ち着いている感じで、これも咲の血が入ったおかげと思われる。

身長は杏寿郎より高く、槇寿郎と同じくらいである。

髪は後ろで一つに高く結い上げていて、若かりし頃の槇寿郎と同じスタイルであった。

まだ炎柱ではないため杏寿郎と同じ羽織は着られないが、よく似た柄の羽織を着て堂々と立つその姿は、杏寿郎の記憶の中にある槇寿郎の姿を彷彿とさせるものであった。

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