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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第21章  番外編 其の弐



ギュッと眉を寄せる。

「申し訳ありません母上…!俺が、俺が弱いばかりに、母上を守って差し上げられなかった…!千寿郎おじ様と、母上をお守りすると約束したのに…!」

桜寿郎はボロボロと涙を流しながら言った。

その様子は、まるで悔しさが涙の形を取って滲み出しているかのようだった。

そんな桜寿郎の体を再度抱きしめて咲が言う。

「何を言うのです桜寿郎!あなたは立派に母を守ってくれたではありませんか。あなたの勇敢な姿が、この母に勇気を与えてくれました…!あなたがいなければ、私はまだ身がすくんだまま動けないでいたでしょう」

そう言うと、ついに咲の目からも涙がこぼれ始めた。

「うぅっ…母上ぇ…」

それを見た桜寿郎は、ぎゅっ、と咲に抱きついた。

泣き声を上げるようなことはなかったが、小刻みに震えているその体からは彼が必死に嗚咽をこらえながら泣いていることが容易に窺える。

そんな二人を、八百屋と魚屋の店主もまた鼻を赤くしながら隣でそっと見守ったのだった。

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