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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第21章  番外編 其の弐



いつもは千寿郎と歩いている道を、桜寿郎もまた勝手知ったるといった様子でズンズンと進んでいく。

千寿郎は結局剣士にはならなかったのだが、杏寿郎の口添えもありその明晰な頭脳を活かして以前から少しずつお館様の仕事を手伝うようになっていて、少し前、18歳になった頃に正式に鬼殺隊に入隊した。

だから家にいない日もあり、そういう時には桜寿郎が千寿郎に代わって買い物に付き添ってくれるようになっていたのだ。

ちなみに千寿郎の入隊と配置については、鬼殺隊内ではたいそう喜ばれていた。

何故かというと、”護衛”ではない名目で剣士並みの実力を持った者がお館様のお側に仕えることができるからだった。

お館様は鬼殺隊の最重要人物だというのに、歴代のどの当主も決して自分のために護衛の人員を割こうとはしなかった。

自分達に人を付けるよりも、鬼のために困っている人達のもとへ行って欲しいと。

産屋敷邸は厳重に隠されているので鬼に見つかる可能性は低いと思われたが、そうは言っても危害を加えてくるのは何も鬼だけとは限らない。

いつの世にも、人の所業とは思えぬような所業をする人間はいるものだ。

だから千寿郎がお館様の右腕となり時には盾となれる立場についてくれたことで、皆の長年の懸念が解消されたのだった。

何しろ杏寿郎のもとで10年以上も修行をした剣士である。

鬼と闘うことは叶わなかったが、人間相手であればまず負けることはない。

それに、女ばかりの産屋敷邸において男手があるということは何かと便利なことだった。

そんな訳で千寿郎の入隊を杏寿郎以外の柱達もすこぶる喜び、皆ホッと胸をなでおろしたのだった。

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