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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



「ちょっとびっくりしちゃったのかな」

そう言って咲が桜寿郎に笑いかけると、まだ生まれたばかりでほとんど目は見えていないというのに、桜寿郎もつられるようにして笑ったのだった。

その光景を見ていた不死川は、まるで眩しいものでも見るかのように目を細め呟くような声で言った。

「すっかり、母親なんだなァ…」

ズズ、と鼻をすすり上げた不死川に、その顔を杏寿郎がむんと覗き込むようにして見る。

「なんだ不死川!まさか泣いているのか?」

「…っ!んな訳ねェだろ!俺ァまだそこまで年取っちゃいねェ!!」

そう言う不死川だったが、その鼻は少し赤い。

「不死川さんも、抱っこしてみますか?」

すっかり泣き止んだ桜寿郎を抱いた咲が、ズリと不死川にいざり寄った。

大家族の長男であり赤ん坊の扱いには慣れている不死川であったが、少し緊張した面持ちで桜寿郎を咲から受け取る。

その柔らかくて温かい肌に触れると、不死川は心の内側からじんわりと温められていくような気がするのだった。

「君、やはり泣いているじゃないか!」

「…っ、うるせェ」

「恥じることはない!俺もいつも感動して泣いている!」

「…っ!咲、こいつどうにかしてくれェ…!」

助けを求めてくる不死川に、咲は笑い出したい気持ちを堪えて、

「杏寿郎さん、また桜寿郎が泣いてしまいますよ?」

と助け舟を出した。

「む!それは困るな。では、俺もそろそろ黙ることにしよう」

ぷく、と頬を膨らませて口を引き結んだ杏寿郎に、それが杏寿郎なりの”反省”の表情であることを知っている咲は、(杏寿郎さんも嬉しいんだなぁ)と思いながらにっこり微笑んだのだった。

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